【コミカライズ連載中】姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
口から出るのは耳を塞ぎたくなる様な言葉ばかりだった。
「あの女が気に入らない」
「どうしてあんなブスが」
「家柄だけが取り柄の癖に」
そんな事ばかり言っている姉が、可哀想に思えて仕方なかった。

そんな思いを見透かしてか、苛立ちの矛先が此方に向くこともあった。
「あんな地味な婚約者、居てもいなくても一緒」
「わたくしは貴女のような負け組にはならない」
「ずっと同じ男で飽きないのかしら」
今思えば、過激な発言の裏には焦りがあったのだろう。

そんな姉と関わりたくなくて、最近は距離を置いていた。

母と姉の口喧嘩も日に日に酷くなっていく。
殴り合いになりそうになるのを止めた事もあった。

父はそんな状況を知ってか知らずか、いつものように愛人の所に逃げていた。
父は口煩い母を毛嫌いしていたが、外に行けば仲の良い夫婦を演じている。

よくフレデリックに言っていた言葉があった。
「仲の良い夫婦で居ようね」
「幸せで温かい関係を作って、子供達を沢山愛していきたい」
無意識に何度も発する言葉は父と母の事を見て、そうなりたくないと強く思っていたからかもしれない。

フレデリックはいつも笑って「そうだね」と話を聞いてくれていたが、今思えば……そんな話、どうでもよかったのだろう。
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