【コミカライズ連載中】姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
すると、不思議な事に益々尽くしてくれるようになる。
時折、不安そうな顔をして此方の顔色を伺うようになっていったのだ。

その時、いけない事だとは思ったけれど「これだ」と思った。

楽にウェンディを縛りつけるにはどうすればいいか、分かってしまった。
そして彼女が不安になる度に満たされていく。

勿論、罪悪感を覚えたけれど時間と共にそれも消えていった。
母はウェンディを地味だというけれど、彼女を"そう"させているのは自分だった。

(自分が上がっていくのではなく、彼女が落ちてくれればいい)

そう思うのに時間は掛からなかった。
それから自然と彼女が周囲に褒め称えられる事はなくなった。

自信なさげな彼女を見ては、安心感を覚えた。
相変わらず、ウェンディは文句を言わずに尽くしていた。
控えめで、いつも一歩後ろに立って、沢山褒めてくれる。
その状態が心地よかった。

やっと自分がウェンディの上に立てた……そう思った。
そんな時にウェンディと代わるように姉のジャネットが社交界を騒がせるようになっていった。

忙しいジャネットと顔を合わせる事はなかったが、ある日デイナント邸に遊びに行った時に偶々彼女と顔を合わせた。
そんな時、此方に妖艶に微笑みかけたのだ。

その瞬間、体の血が沸るように頬が赤くなった。
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