【コミカライズ連載中】姉に婚約者を寝取られたので訳あり令息と結婚して辺境へと向かいます~苦労の先に待っていたのは、まさかの溺愛と幸せでした~
デイナント子爵も大きな騒ぎになる事だけは避けたいと言った。
ウェンディが婚約者ではなくなったが、同じ家で姉妹であるジャネットが婚約者になれば特に影響もなく問題はないだろうと……。

そして、静かにウェンディとの婚約は破棄された。
本当に呆気なく終わってしまったのだ。

そして、ジャネットが新しい婚約者となった。

社交界では"フレデリックとジャネットは真実の愛で結ばれた"
"二人は愛し合っていたが、ずっと妹のウェンディが邪魔をしていた"
"ウェンディだけがフレデリックが好きで愛されていなかった"との噂がどこかから流れていた。

友人が面白おかしくその事を聞いてきたが、自分のプライドを守る為と本当は自分が悪い事がバレる事が怖くて「……まぁね」と返事を濁して、ウェンディを守ることをしなかった。

(ウェンディは、俺が好きだと言いながら引き止めも縋りつきもしなかった……)

此方に泣きついてでもいればウェンディを守ろうという気持ちになっていたかもしれないが、彼女の態度を見れば致し方ないのだと言い聞かせていた。


あの日から、ウェンディと話していない。


時間と共に迫り来る罪悪感……けれど、何も見えないふりをしていた。
彼女に責任転嫁して自分は悪くないと逃げていた。

ウェンディが何も言わなかったこともあり、いつもの毎日が戻ってきた事にホッとしていた。
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