【短編】保健室の常連客
「大変だね。広川くんのほうが偉いよ」
「そう?」
「そうだよ。圧倒的に。もし掃除するなら、オススメグッズ教えようか?」
「マジ? 知りたい!」
キラッと瞳を輝かせた。
仲良くさせてもらってるし、少しでも力になりたい。
今日買った物を紹介しつつ、簡単にできて、時短になる裏技を教えた。
「他にも方法はあるけど、1番楽なのは、まず掃除がしやすい部屋にすることかな」
「……なるほど」
アドバイスすると、瞳のきらめきが消えて静かに。
ちょっと難度が高かったみたい。
「あー、もういっそのこと、桧村さんにまるごと掃除してもらいたいよ」
「まるごと? 一部屋が限界だよ」
「えー、三部屋はダメ? お給料出すから!」
思わず吹き出しそうになった。
天使みたいな可愛い顔して、お金で説得って。
冗談とわかっているけれど、一応聞いてみる。
「いくらで?」
「そうだなぁ、一部屋3千円だとすると、三部屋で9千円? 時給なら最低賃金は保証するよ」