【短編】保健室の常連客
日曜日と同じく部屋着のまま、自転車に乗って近所の100円ショップへ。
家族の分も購入し、お店を出た。
雨が降らないうちに早く帰ろう。
早足で駐輪場に向かうと、制服を着た男の子が、自転車に荷物をくくりつけていた。
あのふわふわの髪の毛と、つるつるのすべすべお肌は……。
「広川くん……?」
「あっ、桧村さん!」
恐る恐る声をかけてみたら、予想通り。
数十分前に、教室で『またね』と挨拶してくれた天使くんだった。
「また会っちゃったね~。買い物?」
「うん。シャー芯切れちゃって」
顔を見て話しつつ、自転車のかごを盗み見る。
パンパンに膨らんで、少し透けているエコバッグ。
中には、ハムやベーコン、パック詰めのお肉が山盛り。
目を凝らすと、ほぼ全部に割引のシールが貼られていた。
「広川くんは……またおつかい?」
「うんっ。今日お肉が安い日だから。買い溜めしちゃった」