【短編】保健室の常連客
水曜日は野菜が安い曜日
翌日の水曜日。
「失礼します」
「はーい」
4時間目が終わった後、トイレを済ませて保健室へ向かった。
当番の日ではないのに、なぜここに来たのかというと……。
「恵理ちゃん! どうしたの?」
「ご飯食べに来ました」
持参した弁当箱と水筒を見せた。
来た理由は、お昼ご飯を食べるため。
というのも、今日の天気は雨。
気温が高い上に湿気がこもっていて、昨日よりも教室が冷えていた。
テスト前の大事な時期に、体調を崩したくなかったから避難しに来たんだ。
本当はダメなんだけど、先生とは仲がいいので、夏の時期だけは時々ここで昼食を取らせてもらっている。
「あらら、恵理ちゃんも⁉ 実は広川くんも来てるのよ〜」
「ええっ⁉」
先客がいたことに驚きつつ、机の上を見ると、黄色い巾着袋と白い水筒が置かれていた。
ほんの数分前にトイレに行ったとのこと。
広川くんも来てたんだ……。
もしかして私と同じこと考えてたりして。