【短編】保健室の常連客
「ただいま〜。おおっ、桧村さん。どうしたの?」
先週作業していた場所に座って準備していると、広川くんが戻ってきた。
「教室寒かったから、ここで食べようと思って」
「マジで? やったぁ! 一緒に食べよう!」
「う、うんっ」
仲間を見つけたと言わんばかりに、瞳を輝かせた。
昨日会った時と同じ、キラッキラの眼差しだ。
そんなにわかりやすく喜ばれると……ちょっと照れくさい。先生以外に人がいなくて良かった。
「いただきます」
「いただきます!」
静かな保健室に、私達2人の声が響いた。
「わぁ、桧村さんの美味しそう。色とりどりだ」
「ありがとう。広川くんのは……昨日のお肉?」
「うん。作りすぎちゃった」
巾着袋と同じ色をした弁当箱の中には、豚しゃぶ肉が入っていた。
1つじゃ足りないと思って、2パック開けてしまったのだそう。
不安定な天気が続いてるのにも関わらず、食欲があるなんて元気だなぁ。