【短編】保健室の常連客

「あ、これじゃね？　町が栄えるにつれて、木が枯れて自然が減る。どう？」

「ブブー。違います」

「ええーっ。桧村はわかる？」

「わかるけど……その前に手を動かして」



仕事に集中しない彼に、溜め息混じりで返答した。

先生もお客さんもいないからって、自由すぎ。
先週来なかったんだから、もっと積極的に働いてよ。


数分後、各自仕事が終わり、休憩時間に。



「で、正解は？」

「簡単に言うと、人生いい時もあれば調子が悪い時もある。盛者必衰は、一応正解にしとく」

「よっしゃ！　俺すげぇ！」



拳を高く上げて勝利のポーズ。

半分しか解けてないのに、前向き思考だこと。
その元気を仕事にあててくれると助かるんだけどな。



「桧村さん、なんかごめんね」

「ううん。うるさいのはいつものこ……」

「おーい、次の問題は？　てか桧村も来いよ！　もう全部終わっただろ？」



話してる途中なのに……本当、この人ときたら。

特にやることもなかったので、残りの時間は彼らと一緒に勉強した。