【短編】保健室の常連客
「てか、武田は? 今日当番じゃなかったっけ」
「あぁ、なんか顧問の先生に呼ばれてるんだって」
平常心を保ちつつ、なんとか返事をすることに成功。
「そっかー。ちょっとタイミング悪かったけど、お客さん少なくて良かったね」
「うん……」
……したのもつかの間、ふいうちで笑いかけられた。
肩が触れるか触れないかくらいの至近距離。
そして、見る人をキュンとさせる優しい笑顔。
……はぁ、心臓に悪い。
もう、せっかく落ち着いてきてたのに。
「こら、広川くん、邪魔しない」
「はーい。ごめんね桧村さん」
「ううん。寝る前に一応、これ書いて」
「了解ですっ」
先生が助けてくれたおかげで、心臓が暴れ出さずに済んだ。
体温計と来室表を渡して、作業に戻る。
……今週は何て書くんだろう。
先週は、『不安定な天気による自律神経の乱れ』だったっけ。
「よし完了。じゃあ先生、5分前になったらお願いします」
「はいはい」