【短編】保健室の常連客
鏡の中の自分に問いかけ、今度は後ろを確認する。
今日の服は、薄手の白いニットに水色のロングスカートを合わせた、夏らしい爽やかコーデ。
前回の私服(というより部屋着)が酷かったため、イメージの払拭を狙って選んでみた。
ヨレヨレの服よりかはマシだと思う。しかし、デートに向いているのかはわからない。
だって、男の子と2人で出かけるの初めてだから。
……まぁ、まだデートと決まったわけじゃないけど。
“ピピピ、ピピピ”
夢中になっていたら、スマホのアラームが鳴った。
あっという間に10分経っちゃった。そろそろ行かなきゃ。
最後にもう1度深呼吸をして、トイレを出る。
すると、ベンチに腰かけた1人の男の子が目に止まった。
……ええっ⁉ 嘘でしょ⁉
「広川、くん?」
「あ! 桧村さん!」
見覚えのある横顔に声をかけると、満面の笑顔で手を振ってくれた。
「先に来てたんだ」
「うん。ちょっとトイレに行ってて……」