【短編】保健室の常連客

「一昨日のこと、詳しく話したいんだけど、いい?」

「……いいよ」



恐る恐る顔を上げると、ホッとしたような目と視線がぶつかった。

心の内を見透かされたのかと思って、さっき以上に心臓が大きく音を立てる。


何の話だろう。
お友達の話か、家の話か、それとも……。







「時間取ってくれてありがとう」

「ううん。ここで大丈夫?」

「うん。人少ないし」



昼食を取った後、後ろの窓際に移動した私達。

最初は外の予定だったのだけど、今日は晴れていて日射しが強いため、教室で聞くことに。



「話そうか迷ったんだけど、桧村さんには長い間お世話になってるから。聞いてくれる?」

「っ、もちろん」



普段の柔和な表情とは違い、真剣な顔つき。
自然とこっちも体に緊張が走る。



「この前松本に、名字変わったって言ったやつ、実は……俺んち、離婚してるんだ」



固唾を呑んで見守ると、ゆっくりと話し始めた。
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