【短編】保健室の常連客
信用してくれているんだなと、嬉しい反面。
「ごめんね。暗い話を真っ昼間にしちゃって」
「ううん。話してくれてありがとう。何か力になれることがあったら言ってね」
「ありがとう。桧村さんがクラスメイトで良かった」
笑顔で発せられた言葉が、再び胸をチクリと刺す。
クラスメイト……か。
でも、そうだよね。
広川くんはみんなの癒やしで、みんなの天使。
彼にとって私は、武田くんと同じ、交流が多いクラスメイトの1人だ。
仮にあっちも好意を持っていたとしても……私が持つ好意とは一致しない。
まさか、こんな形で気づいてしまうなんて。
一瞬でも、告白されるのかなと思った自分が恥ずかしくなった。
◇
「失礼します」
「はーい。恵理ちゃん、お願い」
「はいっ」
平日最終日の金曜日。
先生のお手伝いをしつつ、来室した生徒の相手をする。
「どうしましたか?」
「指切っちゃったんですけど、絆創膏ありますか?」
「ありますよ。ちょっと待ってくださいね」