【短編】保健室の常連客
救急箱から絆創膏を1枚取り出し、彼女の指に貼った。
「ありがとうございます」
「いえいえ。お大事に」
「すみませーん、ティッシュ無くなったんですけど、新しいのどこですかー?」
「はいはーい。今行きまーす」
今度は鼻血を出していた男子生徒が声を上げ、武田くんが真っ先に駆け寄った。
今日はいつもに増して、来客が多く、大忙し。
梅雨が明けて、一気に夏らしくなったからかな。
ケガした人よりも、体調不良を訴える人が多い。
教室と外の気温差で、頭痛や吐き気がしたり、フラフラしたり。
だからか、今日は珍しくベッドが全部埋まっている。
……さて、どうしようか。
──ガラガラガラッ。
「失礼しまーす」
心の中で呟いたその時、悩みの原因である彼がやってきた。
「いらっしゃい。また寝に来たの?」
「うん。ベッド空いてる?」
「ごめん。今日はお客さんが多くて、全部埋まってるの。ソファーでいい?」