【短編】保健室の常連客
先客が数人座っているソファーを指差した。
横になるスペースはないけど、みんな静かにしてるし。肘かけを枕にすれば、仮眠は取れるはず。
広川くんには悪いけど、ここで寝てもらうしかない。
「マジかよ……ツイてないな……」
……はい? 今、ツイてないって言いました?
「他にないの? 横になれそうな場所」
「ないよ。見てわかるでしょ? 全部埋まってるの」
「……はぁ」
ガックリとあからさまに肩を落とした。
いやいや、はぁって言いたいのはこっちなんだけど。
忙しくてバタバタしていたのもあり、珍しく不満を漏らした彼に眉をひそめた。
気持ちはわかるけど、今日くらい我慢してくれないかな。
来室表を見たら、月曜日から木曜日まで毎日来ていた。しかも症状は寝不足。4日間全部。
テストが終わって疲れてるのかもしれないけど……本来保健室は、具合が悪い人や悩みを相談するための場所。お昼寝する場所じゃない。