【短編】保健室の常連客
ドキンドキンな金曜日
──ピピピピ、ピピピピ。
午前7時。枕元で目覚まし時計が鳴り始めた。
時計を止めて起き上がり、机の上に置いたスマホを手に取る。
新着メッセージはなし。そして、昨日と変わらず未読、か。
窓を開けて、太陽の光を浴びる。
特別涼しくもなく暑くもない、どっちつかずなぬるい風。まるで今の私みたい。
……今日、どんな顔で会えばいいんだろう。
ぐるぐる考えながら登校準備を済ませ、学校へ自転車を走らせた。
校門に立っている先生に挨拶をして、中に入る。
……まだ、来ていませんように。
心の中で願い、駐輪場に向かっていると、後ろに誰かの気配を感じた。
嘘……こっちに近づいてきてる⁉
「桧村ーっ、おはよーっ」
「おはよう……」
ドキドキしていたけれど、朗らかな声が聞こえた瞬間、安堵した。
「今日もあちぃなー。先月は涼しかったのに、7月に入って急に暑くなったよな」
「そうだね。部活大変じゃない? 外でやってるんでしょ?」
「おぅ。ここ最近はこまめに休憩取ってる。倒れたらいけねーし」