【完結】この結婚、漫画にしちゃダメですか?
「笑うなよな」
ポツリとそう言った小笠原さんは不機嫌そうな顔で少し赤くなっていた。
──なんかちょっと小笠原さん可愛いかも。
私はかなり意外な小笠原さんを見られて少し気持ちが落ち着いてきた。でもそれからもおばあさんの質問攻めが止まらない。
「香菜さんは今どんな漫画を描いているのかしら。拓実が担当なら厳しいんじゃない?」
「あ、はぁ……」
本人を前に厳しいです、とも言いにくい。答えに困っていると小笠原さんがすかさずおばあさんに答えてくれた。
「おばあさん。優木さんはキャラクターの心情を捉えるのが上手いし、実力があると思うから厳しく言うんです。それに編集担当は最初の読者でもあるから陰ながらに応援するのが丁度いいんです」
その言葉を聞いて私はつい驚きの目で小笠原さんを見つめてしまった。でも驚いたが率直に嬉しかった。
まさか小笠原さんがそんなふうに思って応援してくれていたとは思いも寄らなかったからだ。
ん?……でもこの言葉ってなんか。
そんな私達を見ていたおばあさんがクスッと笑って話しを続けてくる。
「なんだか上手くいってるようで安心したわ。あなた達二人お似合いよ─。……香菜さん、拓実といつまでも仲良くしてくださいね」
「あ、はぃ」
うぅ。なんか私への言葉じゃないと思うとおばおあさんの言葉がグサッと刺さる。そして同時に騙している罪悪感でいっぱいだ。
「あ!そうそう香菜さん。拓実の小さい頃のアルバム見たくない?」
「わぁ─、すっごい見たいです!」