【完結】この結婚、漫画にしちゃダメですか?
嫉妬?
晴に誘われて初めて三人で飲んだのはちょうど半年ぐらい前のことだった。
その時、紹介してもらった山田さんのことは晴から事前に聞いていた。なにやらデビュー当時からの担当編集者で、半年前に突然小笠原さんという編集者と交替したとか。
その日は《山田さん慰労会》なるものを晴が開いて、私が合流したのが三人で飲むきっかけとなったのだ。
そして今日は久しぶりに三人で集まったのだけれど、会って早々私と山田さんは今まさに晴を尋問攻めにしようとしている。
「……で?どうしてそうなったのかまだ詳しい経緯聞いてないんだけど」
「俺もだよ。とにかく本当に小笠原さんとは結婚どころか付き合ってもいないんだよね?!」
山田さんの一番の確認事項はそこだったみたい。
「ぜ、全然付き合ってもないです!先日言ったように色々とトラブルが重なってしまい……嫁の代役という形で同居?いや、ルームシェアをしているだけで」
山田さんはまた更にもう一歩前のめりになり、「同居って言ってもね!やっぱり……」と頑固者のお父さんみたいに言ってきた。
「あ、いや。同居というか本当にルームシェアみたいなものなので心配しないでください。それにあと2ヶ月ぐらいでそれも終わるし」
「……でも、ねぇ麻希ちゃん。一応男女なんだし、なにか起こらないとも限らないよね」
そう言いながら、山田さんが私に向かってチラチラとなにかを合図してくる。
私はハァ─……と溜め息をつきながら晴に一つの提案をしてみることにした。
実は昨日の夜、山田さんからラインがきて突然の頼み事を持ち掛けられたのだ。
『ねぇ、麻希ちゃん。はるちゃん……大丈夫かなぁ?いや。別に小笠原さんと晴ちゃんを信用してないってわけじゃないんだよ。ただ男女ってね、いつどうなるかってね……』
山田さんは一見爽やかスポーツマンでモテそうなのに、恋愛のこととなると相当なポンコツ男子だ。そんなんじゃ、いつまで経っても鈍感な晴には気づいてもらえないな。