【完結】この結婚、漫画にしちゃダメですか?
『山田さん。晴に告白とかはしないんですか?このままじゃいつまで経っても晴には伝わりませんよ』
……って言うか、メッセージでこのやり取りは何ともまどろっこしい。直接電話で話せないものか。
すぐに “既読” がついたものの、そこからなかなか返事が返ってこない。きっと告白というワードを見て、どう返していいのかわからないのかもしれない。今までの山田さんを見ていたら容易に想像がつく。
── ンッ─、もうメッセージ面倒くさい!直接話そう。
私は山田さんに電話をした。
“プルッ……”「はい!もしもし、麻希ちゃん!?」
早!
「ねぇ。やっぱりはるちゃんに告白しちゃってもいいかな?このまま、もしかしたら小笠原さんといい感じになったりとか」
「大丈夫ですって。小笠原さんとそんなことは絶対ありえませんよ─。私かなり小笠原さんの愚痴を聞かされてましたから」
そう。今まで散々、小笠原さんの愚痴を言ってたんだから今更だよね─。
ただ、山田さんも正直優しい編集者さんとしか思われていないかも。晴とは長い付き合いだから何となく雰囲気でどう想ってるかわかっちゃうんだよね。
「そうだね。ちゃんと考えてみるよ。あ、あと麻希ちゃんにお願いがあるんだけど、はるちゃんをしばらく麻希ちゃんの家に泊めさせてもらえないかな?」
「うちですか?うちはまぁ部屋数は結構あるので大丈夫ですけど……山田さん。やっぱり晴が小笠原さんと一緒だと心配なんですね」
「いやだって小笠原さんだよ!女性社員皆狙ってたのよ。俺だって憧れる編集者だから、はるちゃんから事情を聞いた時は正直ビックリした。まさか小笠原さんが振られるなんて……」
「わかりました。一応明日晴に打診してみます。でも山田さんって本当、晴のこと好きですよね─。好き過ぎて担当者降りちゃうぐらいだし」
そう。半年前、山田さんは自ら晴の担当を降りたのだ。晴のことを好きになってしまい、このままだと編集者として支障が出ると思い泣く泣く。
もちろん晴はこの交替劇の真相を知るはずもない。