【完結】この結婚、漫画にしちゃダメですか?
晴の葛藤とライバル
私は麻希のメッセージを見て青ざめた。
『昨日は小笠原さんが酔い潰れた晴を連れて帰りました』
何がどうして小笠原さんが私を連れ帰ることになった?!当然の如く昨日のことは途中から何も憶えていない。
私はどうやらまたやらかしてしまったらしい。功太にもあれほどお酒の適用量を考えろって言われていたのに。
私はすぐ麻希にメッセージを返した。
『なんで小笠原さんが私を?どうしてそうなったの!』
『ムフッ。詳細はまたこ・ん・ど🖤』
──いや、今教えてよ!私、小笠原さんに何か変なことしてないよね?
今日は出版社で小笠原さんとの打ち合わせだっていうのに顔合わせずらいじゃない。……いや、その前に朝食がある。
「ハックシュン!」
私が部屋の中で悶々と考え込んでいるとリビングから小笠原さんのくしゃみが聞こえてくる。
──嘘でしょ。昨日病み上がりで私を迎えに行ったから風邪がぶり返したんじゃ……。迷惑かけたことちゃんと謝らないと。
「小笠原さん、ごめんなさい!昨日は運んで頂いたみたいで……私のせいで風邪ぶり返していたら本当にごめんなさい」
私はリビングへ続くドアを開けたと同時に深々とお辞儀。でも小笠原さんから発せられた言葉は私が想像していたものと違った。
「あぁ、片桐さんおはよう。……ハックシュン!……あ、ごめん。くしゃみは別に片桐さんのせいじゃないから気にしないで」
「はぁ」
え?なんかちょっと拍子抜け。
絶対「迷惑かけるな─」とか文句言われるかと思ったから。
優しい。昨日に引き続き小笠原さんが優しい。いや、優しいのは嬉しいんだけど何か調子狂う。
「朝食用意したけど食べられる?二日酔いなら簡単にお粥作るけど」
「あ、いやいや大丈夫です!それより体調、本当に大丈夫なんですか?……って何で小笠原さんが朝食を?」
── あぁ─……何か気になる質問を一気にしたら変な言葉になっちゃったよ。
小笠原さんがフッと微笑みながら一つ一つ質問に答えてくれた。
「昨日はあまり寝られなくて早く起きたからついでに朝食を作ったんだ。体調はくしゃみだけで調子は悪くないから。あと朝食なんだけど今日は朝から会議でもう出なきゃいけないんだ、悪い」
急いで出勤の準備を始めた小笠原さんは玄関で何かに気づいたみたいに一言だけ付け加えてきた。
「あぁ、片桐さん。お酒はしばらく禁酒すること。じゃあ、またあとで」
「……はい。すみません。行ってらっしゃい」
私が申し訳なさそうに言うと、いつもと違ってニッコリと笑った小笠原さんが昨日よりもすごく眩しくて。
しばらく一人で悶えながらニヤつきが止まらなかった。