【完結】この結婚、漫画にしちゃダメですか?


自分の数少ないスカート。

確か最後に履いたのは七ヶ月前の合コンの時。麻希に彼氏でも作りなさい!とか言われて無理矢理参加させられたっけ。

それからはずっとタンスに仕舞ったままだったけれど、今日はそのスカートを履いて出版社へ出向いてみた。

ずっと仕舞いっぱなしだったからちょっと変な匂いがするけれど、ここまで来る間にその匂いも和らいできた。

ついでにお化粧をして、ついでに髪の毛も整えて……と考えていたら、慣れていない作業にすごい時間がかかってしまった。改めて私はこういう女子力はないんだなぁと反省。

小笠原さんとの打ち合わせには少し時間があると思った私は、先に山田さんのところへ向かうことにした。

デスクではなにやら難しい顔をしながら原稿のチェックをしている山田さん。そんな時に声をかけるのは悪いかと思ったけど昨日のこともあるし少しだけおじゃましよう。

「山田さん!」

「……え。はるちゃん?!え、どうしたのその格好、メチャクチャ可愛いじゃん!」
山田さんは目をパチパチしながら驚いて誉めてくれた。

──山田さんのこの反応だと小笠原さんも驚いてくれるかな?もしかしたら見違えたよ……な─んて言ってくれちゃったりして─!

私はその甘い場面を想像するだけで何だか嬉しい気分になった。

「でもはるちゃん。今日はなんで急にそんな女の子っぽい格好? いや!すごい似合うんだけどね」

山田さんの言葉で妄想から現実に引き戻されると、こんな女の子っぽい妄想をしている自分が急に恥ずかしくなった。

「い、いえ!特に理由はないんです。たまには気分転換にいいかなと思って。あ、それより昨日はスミマセンでした。ほとんど途中から記憶がないんですが……私何か失礼なことしてませんでした?」

「…………いや。全然大丈夫。特に何もなかったから」

──あれ? 今少し間が空いてなかった?

「本当ですか?」

「本当、本当。まぁ強いて言えば、はるちゃんがすごい寝言を言っていたことぐらいかな」

「嘘!やだ恥ずかしい。私なんて言ってました?」

「うそうそ。可愛い寝顔だったよ」

私達が和気あいあいな感じで楽しく話していると、後ろから「優木さん!」と突然声をかけられた。
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