【完結】この結婚、漫画にしちゃダメですか?
すれ違い
今日は最高のデート日和なのではないか。
そう思うぐらいとても気持ちの良い青空が広がっている。
漫画コンテストまであと半月、創立記念パーティーまで一ヶ月というこの日、遊園地デートを決行する時がきたのである。
それなのに、澄みきった気持ちの良い青空とは違って、私と小笠原さんはこのところ微妙に関係がギクシャクしていた。
確か……そう。山田さんが私に告白してくれた日辺りからだったと思う。
その時にずっと励まされ大事にしてきた言葉が、山田さんではなく小笠原さんからのものだったことを知った。
それから私の中では更に小笠原さんを想う気持ちが強くなってしまい、態度が少しぎこちなくなってしまっている。
──でも! 私よりもおかしいのは小笠原さんのほうだ。明らかに私を避けている。話しかけても素っ気ないし。
少し遅めの朝食を終えた私達は遊園地へ出かける準備をし始めた。
いつもスーツを着ている男性がカジュアルな普段着、少しボサッとした髪型をするとグッとくるのはなぜだろう。私もいつの間にか、いつもと違うスタイルの小笠原さんを目で追っていた。
「あの─小笠原さん。カメラはやっぱり持っていったほうがいいですよね?」
「……別にわざわざカメラを持っていかなくてもスマホのカメラで充分じゃない」
「あ─……でも、スマホはメモ機能を使って書き留めたりするので……」
「そう。じゃあ、片桐さんの好きにしていいよ」
会話が途切れてしまった。ここ最近、いつもこんな感じで素っ気ないまま会話が終わってしまう。
──言いたいことがあれば言えばいいじゃない。私はどうやら言われないと気づかないほど鈍感らしい。山田さんのことにしたって……。
そう思っていた時、私の中で少しだけずるい気持ちが芽生えた。前から気になっていた小笠原さんの気持ちを少しだけ試してみたくなったのだ。小笠原さんの反応が見てみたかった。
「小笠原さん?私、実は先日、山田さんに告白されちゃいまして。全然気づかなかったんですけど、嬉しくて私ってまんざらでもないんだな─って」
「…………」
あれ?
「小笠原さん?」
「うん、そうか。じゃあ、この同居も……」
「同居がどうしたんです?」
「いや。そろそろ出ようか」
なんとも煮え切らない態度……
試すようなやり方をしてとても後悔した。少しだけ小笠原さんの反応を知りたかっただけなのに、ほぼ無反応のまま。
余計にギクシャク感を増したまま私達は遊園地へと向かった。