【完結】この結婚、漫画にしちゃダメですか?
自分の気持ちを伝えていいんだという安堵感とやっと言えたという達成感で、私は一気に緊張が緩み涙が溢れてきた。
小笠原さんはその好きという言葉を聞いた途端、またテーブルに顔を埋め自分の髪をクシャクシャとして、「─……ヤバい……めちゃくちゃ嬉しいんだけど」と一言だけ。
そう言った小笠原さんの顔は腕にうずくまっていて表情は読み取れない。
けれど、その言葉だけで私はとても幸せな気分になった。涙は溢れてくるけど今までの涙とは全く違うものだ。
「私と小笠原さんっていつの間にか両想いになってたんですね」
チラッと腕から覗かせた小笠原さんの目線に私は今までにないような幸せな笑顔を見せた。
「……てもいい?」
「え、なんですか?」
ボソッと呟いた小笠原さんの声が聞き取れず、私は身を乗り出し顔を近づけてちゃんと言葉を聞き取ろうとした。
……瞬間、小笠原さんが勢いよく顔を上げ身を乗り出しながら私の耳元でもう一度、恥ずかしながら呟く。
「今すごくキス……したいんだけど、してもいい?」
小笠原さんが急に甘い言葉を連続で発してくるものだから、私の気持ちは追いつかないままだったがいつの間にか小さく頷いている自分がいて驚いた。
私達は恥ずかしながらもお互いを見つめ合い身を乗り出した。
静かに目を閉じ二人の気持ちが高鳴り触れ合う時。
観覧車の時のキスとはまた違う……ちゃんと想いが通じ合った大人の口づけ。
口づけを交わしてどのぐらいの時間が経っただろう。いや、時間にしてはそんなに経ってはいないけれど、この唇の感触を手放したくなかった。
けれど、そんな幸せな時間も一旦の終わりをむかえる。
私達はまたお互いを見つめ合い、同時にクスっと微笑みをこぼした。
そしてその甘い刻の中、私はずっと引っ掛かっている疑問……香菜さんのことを聞いてみたのだった。