【完結】この結婚、漫画にしちゃダメですか?
刻は18時を過ぎようとしている。
『マリアージュ迎賓館』
そこはまるで宮殿?とも思えるような華やかさ煌びやかさ豪華さを放っており、訪れる者は皆一瞬で心を奪われている。
私もその内の一人だ。タクシーを降り立ち、小笠原さんにエスコートをされていた私は迎賓館を前にポカンと口を開けている。
「……小笠原さん。私、もっと、その、豪華な衣装のほうが良かったでしょうか?」
私の衣装は、肩や背中が大きく開いているがデコルテ部分までシースルーになっている為、それほど露出が目立たない黒のロングドレスを着ている。
そしてそのドレスに合った少し大きめのジュエリーをチョイス。デコルテが映えるように髪はアップにしてみた。
けれど、まさかこんなに大掛かりなパーティーだとは想像していなかったから、急に周りの女性陣と見比べてしまったのだ。
そんな不安がっている私に対して小笠原さんはクスっと笑いながら耳元でそっと囁いた。
「俺は片桐さんが可愛すぎて、今すぐそのドレスを脱がしたい気分だけどね」
その甘い言葉で一気に顔が熱くなってしまった私は、一瞬で自分への不安が吹き飛んでしまった。
そして小笠原さんにエスコートされるがまま迎賓館の中へと入って行く。
迎賓館の中では既に何百人?はいるだろうかという大勢の人達が楽しそうに談笑していた。外観もすごい煌びやかだったけど中も劣らずにとても品のある豪華さ。
「片桐さん、ちょっとごめん。少し挨拶してくる」
そう言って、小笠原さんは誰かを見つけたのか私を残してその場を離れて行ってしまった。正直、自分一人では何をどうして良いかわからないものだから、とりあえず端っこの方へ移動してみた。
でもこうやって端の方で眺めていると、有名人ばかりが目につく。有名漫画家や作家、それに芸能人、著名人まで……私は改めてすごい人と付き合っているのだと再認識させられる。
時々私でいいのだろうかと幸せな分、不安な気持ちも一緒に押し寄せてくるのだ。
一抹の不安に駆られた私はうつむきながらハァ─と小さな溜め息をつく。その時、視線の先にはピカピカに磨かれた高そうな靴が目に入り、その男性から……
「綺麗なお姉さん、僕とお茶しませんか?」
と急に話しかけられたのだ。