Rain shadow─偽りのレヴェル─
いやでも今ってそういうの、珍しくは…ないのかな。
誰かを好きになる気持ちというのは色んな形があっていいものだと思うし、そこに偏見はとくにないけれど…。
でも意外っていうか。
それは瀧という人間にも恋だったりの感情があるんだと。
この子は自分の感情含む色んなことに興味を示さないような、そんな印象が強かったから。
「あっ、もちろん誰にも秘密にするから…!」
「ふっ、」
そしてまた、笑われるわたし。
……からかってるのかな。
後輩であり弟みたいな瀧にまでからかわれるようになったら、なんかちょっと悔しい。
「…ん?なんか落ちたよ、」
「っ……!!」
「ひゃ…っ、」
やばい───、
そう思ったのはどちらだろう。
それは1枚の写真だった。
瀧の制服のポケットから落ちたその写真を拾うと、勢いよく奪われてしまって。
「あっ、今のはびっくりしてつい、えっと、」
聞かれた……よね……?
さすがに今の声は男が出すようなものではないから。
それは絶望を感じる気持ちに似た感覚が全身に広がってゆく。