Rain shadow─偽りのレヴェル─
「ははっ、震えてんぞー?それで本当に参謀か?」
「これ、電流が脳にまで達するくらい強力で有能なんだよ。もしかするとちょーっと脳のほうに後遺症が残るかもなあ?」
……足が、震えて動かない。
だったら動く手を使えばいいだけ。
わたしだってずっと持っていたソレがあるんだから。
久遠 綾羽を殺すために制服の内ポケットに隠し持っている、ナイフが。
「…わかってるのか、僕に手を出したら……Rain shadowを敵に回すということだぞ、」
「うっ、うるせぇ…!!!」
あぁ、もう、だめかも───…。
背中は行き止まり。
情けなくもズルッと座りこんでしまったわたしに、青白い光色の電気がバチバチと音を立てながら向かってくる。
──────ドガッ!!!
「ぐは……ッ!!」
「おまえ…ッ、なんでこの場所が……っ!!」
もしわたしにスタンガンが当てられたなら、そんな鈍い音はしないだろう。
痛々しい音を食らって叫ぶ声だって、わたしの声はそんなにも低くないから。
それに……わたしは痛みもなければ意識もある。
「───遅くなってすみません」