Rain shadow─偽りのレヴェル─
Ravenは厄介だと思われるため、Foxを手に入れたあとに回そうと爽雨と作戦していた───のに。
『それでねっ!今日はふたりにお土産があって!』
『お土産?』
『この子っ!道端に怪我だらけで落ちてたから拾ってきたの!!』
『『………。』』
俺と爽雨は言葉にならなかった。
落ちてた、拾ってきた、まるで捨て猫を見つけてきたみたいに言ってしまう翠加。
なにより驚いたのは、翠加に腕を引かれて現れた男子生徒がまさかの赤髪だったから。
『ねぇねぇ、君の名前なんだっけ?』
『……あかや、』
『そうそう赤矢くん!私は翠加!このチビが爽雨くんで、無駄な男前が綾都くん!今日からよっろしくね~!!』
『そんな雑すぎる紹介あんの。なあ爽雨、』
『…今さらだよ。でも翠加、俺はお前より7センチも大きいから』
……たいして変わんねぇ気がするけど、そいつからしたら譲れないとこらしい。
翠加がつかむ手をナチュラルに外した爽雨は、そのまま隣に立つ独占欲。
翠加が拾ってきたのは猫でも狐でもなく、いちばんすばしっこいと思っていた烏だった。
そろそろRavenの総長の座を奪うだろうと言われている同学年の男で、どこでも目立つ赤色を見たら誰もが怯えるひとり。