Rain shadow─偽りのレヴェル─




『赤矢くん、これ私のお弁当なんだけど、お腹すいてるんじゃない?ほらあげるっ!』


『……ええの…?』


『えーよえーよ!さっきからグーグー鳴ってるもんっ』


『ほんまか!?お前ええやつや!!』



まじか、手懐けた……。

俺と爽雨でも長時間かけて仲間にする方法を考えていたというのに。


烏間 赤矢を捕まえてきたのは、他でもなく翠加だった。



『翠加~、この子がお前と友達になりたいらしいんだけどさー』


『えっ、なに!?もしかして遼ちゃんの彼女!?』


『いや、彼女ではないね』


『あーっ!そういうふしだらなの良くないよ!はんたーい!』


『はははっ、翠加にはまだ早い世界ってだけだから』



それからFoxの総長、佐狐 遼成すら手懐けてしまって。


気づけば俺たち専用のアジトも確保できた。


校内を歩けば誰もが道を開けて頭を下げてくるようになって。

すでに4グループあるうちの3つは完全に俺たちの支配下となった。



『残るはViperか…、』



正直、Viperには近づきたくなかった。

どうにも総長をしている3年の鬼木 蛇雄(おにき だお)は、総長のなかでも群を抜いて残忍な男だという。


毒蛇の名のとおり、常に異様なクスリを持ち合わせては、催眠薬に神経麻痺剤を使ってくると噂があった。



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