Rain shadow─偽りのレヴェル─
『そういえば翠加の弟ってViperなんだっけ?中学でもかなり有名なんでしょ?』
『そうそうっ、だから私に任せてっ!瀧は今もうViperで幹部のひとりだし、私が話つけてあげるっ』
『翠加、そんなのぜったい駄目だ』
言うことを聞かないお転婆姫を決まって心配するのは水本 爽雨だ。
それはただの仲間意識なんてレベルじゃないんだろうと、俺には分かっていた。
翠加を大切に思う気持ちは、きっとこの中で誰よりも持っているのが爽雨でもある。
『鬼木は俺たちが揃っていたとしても警戒しなくちゃならない1人だ。危ないクスリを盛られる可能性だってあるんだよ』
『でも…、私だってみんなの役に立ちたいからっ』
好きなんだろ、お前は翠加のことが。
じゃなきゃそんな顔はしねぇよ普通。
『ほら私は最悪……、か、カラダだって使えるもんっ』
『いっやそれはあかんやろ!!さすがに!!』
『そうそう、まだ早いって翠加には。そんなのしたら余計に爽雨くん激おこじゃん』
『いーのっ!それくらい私だって役に立ちたいのっ!!』
爽雨は翠加のミディアムショートをそっと撫でると、そのまま引き寄せようと背中へ回すが。
ストンと、真下に下ろしてしまった。