Rain shadow─偽りのレヴェル─
『……いくらなんでもヘタレすぎや』
『…だまれクソ烏』
『まあまあ黙って見守ってあげようよ赤矢。爽雨くんは真っ赤なチェリーボーイなんだからさ』
『だまれクソ狐』
冷やかされつつも、爽雨は熱のこもった眼差しを翠加へ向けていた。
こいつの目には翠加しか映っていないこと、大体みんな察してる。
『爽雨くん、私も仲間でしょ…?だから少しでもみんなの役に立って、仲間らしいことしたいのっ!!』
『…もう立ってる、もう十分すぎる。お前は俺に……、俺たちに守られるお姫様になってればいいんだ』
『……おひめ…さま…?』
爽雨は喧嘩をしないわけではなかった。
むしろ自分から吹っ掛けるときもあるくらいで、けれどそれ以上に頭脳明晰な性格が理性となって感情を止めてしまう部分があって。
そんな自分自身といつも葛藤しているのも、俺の親友だった。
『そうだ、翠加。おまえは俺たち……Rain shadowのお姫様だよ』
翠加に続いて霊池、赤矢、佐狐、そして俺。
全員が爽雨に注目した。
そろそろ名前を決めよう、このままだと周りと区別がつかない───確かにそんな会話はずっと出てはいた。
『綾都、霊池、赤矢、佐狐、…それから翠加』
ひとりひとり呼ばれた名前。
司令塔として、俺たちに笑いかけた爽雨。
『───Rain shadow。異論は認めないから』