Rain shadow─偽りのレヴェル─
それは日本語にすると“雨陰”。
生意気な参謀の表情は、キラキラと太陽の光が降り注ぐなかに降る雨みたいだった。
いつかに爽雨は俺に話してくれたことがあった。
昔っから泣き虫で困り者な双子の妹がいるって。
そいつも名前に“雨”という字が入っていて、けれど自分とは違ってあまり良い意味を持たない語呂合わせだから。
昔から名前でいじめられていた───と。
『かっこいいっ!!爽雨くんっ!すごいよ!私この名前すっごく気に入った!!』
『えー、朱雀のトップが使うにしては爽やかすぎじゃない?ねぇ赤矢』
『ええんちゃう?ギャップってやつやん!!なぁ仁!』
『あぁ、俺はとくになんでも』
そして最後は、最高司令塔である俺の許可を全員が期待の眼差しで待っていた。
『お前、わりとシスコンだよな』
『ふっ、…だれが』
やっとここまで来たと、俺たちは拳を合わせる。
『よっしゃ!決まりやっ!!』
『やったーーっ!!遼ちゃんと仁ちゃん!ジュース買ってきて!!』
『……ねぇ翠加、俺たちが君より先輩なの知ってる?』
『炭酸でいいか。行くぞ佐狐』
『え、ちょっと仁くん、』
Ghost、Raven、Fox、そしてもうすぐViperの総長が揃う。
最高司令塔と参謀がいて、みんなを手懐けてしまうようなお転婆なお姫様がひとり。
俺たちは今日から、Rain shadowだ。