Rain shadow─偽りのレヴェル─




どうなる……?
どうするの、赤矢。

こういうとき、あなたならどうする…?



「赤太、めんつゆ落としたら今日の夕飯はおかわりナシやからな」


「う、うんっ」


「はよ姉ちゃんとこ行き。ここは兄ちゃんに任せろ」



赤太という、赤矢によく似た男の子は駆けていく。


だとしてもここは公共の場だ。

朱雀工業高校だったのなら、そんなのお構い無しに今にも飛びかかっていただろうけれど。



「とりあえず、店出ようや」


「ぁあ?靴の弁償はしてくれるんだろうな?」


「…いいから出ようや。な?」


「おい聞いてんのか───…っ、!!」



胸ぐらを掴んだ男の顔は途端に怯えて青白く変わるものだから。

赤矢がどんな顔をしているのかと気になって、思わず視線を移してみる。



「っ、」



その口元は引き上げられていた。

けれど、先ほどとは比べ物にならいない殺気と隠せれていない気迫。

おでこに浮かび上がるように青筋がピキピキと浮き出ていて。



「なあ、はよ出ようや。オレのタガが外れんうちに。
面倒やから完全に外したないねん。2日寝込む羽目になるんや、オレが」


「ひぃ…っ」


「まぁお前は、…2日どころちゃうやろうけどな?」



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