Rain shadow─偽りのレヴェル─
そんなにも低い声を出すのかと、遠くから見ていたわたしですら震えた。
──────ドガッッッ!!!
どこからか響いてくる音。
スーパー内の平和な音楽に混ざって聞こえた今の音は。
「ママー、いま外からすごい音しなかった?」
「事故かしら…?怖いわねぇ」
………まぁ事故って言ったら事故なんでしょうけど…。
なんていうか、たぶんそれとはまた違った事故なんじゃないかと。
やはりあの男はRain shadowの幹部であり、完全なる総長だった。
「……なんでお前がおんねん」
「はは、バッタリ会うなんて奇遇だな赤矢」
「……なんで家までついてくんねん」
「…成り行きで」
どんな成り行きや───と、ふて腐れた顔をされてしまった。
だとしてもわたしの手は赤帆ちゃんが離してくれないんだから仕方ない。
あのあと気になってスーパーの裏手に顔を出せば、案の定チンピラがコテンパンな姿で倒れていた。
それからなんとか店員さんに誤魔化したのはわたしだ。
そんなことをしていれば5歳の女の子はキラキラさせた目で手を握ってきて。
で、一緒に夕飯を食べることになった今。