Rain shadow─偽りのレヴェル─




「今日カレーなの!そうくんカレーすき?」


「うん。好きだよ」


「うちのカレーはね!ぜんぶ甘いの!」


「あ、そうなんだ。甘口も美味しいよね」


「うんっ!!」



かなり立派な一軒家だった。

兄妹が多いと家もそのぶん大きくなるのかな…なんて思ったけれど。


そういえば瀧以外は、比較的裕福層な息子さんなんだっけ…。



「赤帆と赤太!ほらテーブル片付けてスプーンとコップならべて!爽雨さんの分もよ!」


「うんっ」


「はーい」



まるで小さなお母さん。

キッチンに立っているのは中学2年生の女の子、赤菜ちゃんだった。

もうひとりは小学校1年生の赤太くん。


面白いのは、この兄妹はみんな名前に“赤”がつくこと。

それはわたしたち兄妹も同じだ。



「うち、母親おらへんねん」



ぽつりと、兄妹たちを見つめていた赤矢は落とした。



「オレが中3んとき、知らんけど出て行ったわ」



僕のところも似たようなものだ。

だけど、その言葉は言わなかった。



「ほんで父親は海外赴任で日本から離れてんねん。やから、ここにおるのはオレたちだけや」


「…そっか、」


「ま、別に兄妹いっぱいで気楽で楽しいからええけどな!」



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