Rain shadow─偽りのレヴェル─
でも今日は赤矢の優しさが初めて見えた。
普通のお兄ちゃんだ。
妹と弟思いの優しいお兄ちゃん。
「爽雨さんも遠慮なくどうぞ」
「ありがとう」
「ふふっ、お兄ちゃんが家にお友達を連れてきたのなんて久しぶり」
もしかしたらお兄ちゃんも来たことがあったのかもしれない。
久遠くんも、佐狐も霊池先輩も瀧も。
そしてRain shadowが認めた唯一のお姫様である、翠加さんも。
「連れてきたんちゃうわ。こいつが勝手についてきたんや」
「もうお兄ちゃんっ!そんなんだとすぐ嫌われちゃうよ!!」
「好かれたいとも思ってへんわ!」
美味しい。
こんなに美味しい夕食を爽雨として食べれる日がくるなんて思ってなかった。
「つーか、お前はなんかお使い頼まれてたんちゃうん?」
「あー、うん。でもそこまで急用なものじゃないっぽいから平気だよ」
「なに買ったん?」
「バルサミコ酢」
よし、噛まずに言えた。
そしてちょっとドヤ顔で言えた。
「うわっ、あんなもん料理に使う人間おったんか!!」
「なら今度、僕の家にも遊びにきてよ赤矢」
「……考えといたる」