Rain shadow─偽りのレヴェル─




「そうくん、いつかわたしをお嫁さんにしてくれる?」


「え、」


「んな…っ!!」



純粋無垢な夢はさすがに壊せないから。

ガバッと起き上がった赤矢なんか無視して、わたしは赤帆ちゃんに笑いかけた。



「もちろん。赤帆ちゃんがもう少し大きくなったらね」


「おい…っ!なに適当なことほざいてんねん!!」


「やったぁ!!」


「やったぁちゃうわ!!誰がそんなあぶねぇ言葉おまえに教えたんや赤帆!!」



鈴虫の声よりもうるさいカラスの声。

情緒も何もないなぁ…なんてため息を吐きつつ、笑ってしまった。



「もー、お兄ちゃん静かに!やっと赤太が寝たんだから…!」


「あ、ごめん赤菜ちゃん」


「あっ、いえっ、爽雨さんはぜんぜん大丈夫ですから…!」



どうやら赤太くんは夜更かし体質らしく。

1度眠ったらぜったい起こさないようにしなければ、もし変な時間に目を開けてしまうとそのまま朝まで起きていてしまうみたいで。


かなりパワフルでエネルギッシュで、とりあえず深夜テンションはかなりうるさいらしい。



「……てめぇ、赤菜までたぶらかしたら許さんからな」



そんな赤矢は、赤帆ちゃんを挟んで反対側に横になっていた。



< 142 / 364 >

この作品をシェア

pagetop