Rain shadow─偽りのレヴェル─
赤矢、赤帆ちゃん、わたし、すこしの間を空けて隣の布団には赤太くんと赤菜ちゃん。
こんなにも賑やかな夜も初めてだった。
「…赤矢、赤矢、」
「…なんや、」
「赤帆ちゃん寝たよ。僕たちの手握りながら寝ちゃったみたい」
すうすうと、気づけばわたしと赤矢以外の子供たちは夢の中。
外から聞こえる夏虫の声をやっと落ち着いて聞けるようになった。
「……オレたちのこと、母ちゃんと父ちゃんだって間違えてんじゃねーの」
「…僕は男だけど、」
「はっ、女みたいな男にしか見えねーって」
……それよりも。
とつぜん関西弁が抜けるの、やっぱりちょっとやめてほしい。
心の準備っていうか、ドキッとするの、いろんな意味で。
もしかするとこの男がいちばんギャップを持った人間なのかもしれない。
でも今は兄妹たちみんな寝てるから、本当の姿を見せてくれてるってことだ。
「爽雨、」
いつの間にか呼ばれることに慣れた名前。
深雨と呼ばれるより、爽雨と呼ばれたほうが嬉しさが募るようなって。
返事はとくに返さないまま、きゅっと優しく小さな女の子の手を握り返す。