Rain shadow─偽りのレヴェル─




「…前は、悪かった」



なにが悪かったんだろう。

Ravenの人間に何かされた覚えもないし、この人は学校でも一応は話してもくれる。

考えても心当たりという心当たりが見つからなかった。



「正直、お前のことは出会った頃から見下してる部分があったんだ」



でも、今ならわかる。
お前じゃなきゃ参謀は務まらねーわ、と。

そう言ってから、すぐ追いかけるように続けられた。



「オレは話し合いで解決なんかできないから、そうしようとしてるスカしたお前にどこか腹が立ってたんだと思う」



同じタイミング、わたしも思い出していた。

それは烏間 赤矢が初めて寂しい顔を見せてくれたときだ。



『アホ。話し合いで解決できんかったからお前は参謀にしかなれんかったんやろ』



お兄ちゃんを見下すような言葉で。

けれど、そのあとの会話のほうがわたしは気になって。


Rain shadowには秘密がいっぱい隠されているんだろうなって、カラスはカラスにしか見えない目で色んなものを見ていることを知って。



「だからあれ、ぜんぶ取り消す。今までのお前に対するマイナスな印象も全部ナシ」



赤矢にはたくさん聞きたいことがあった。

わたしがずっと胸につっかえているところを知っているような気がするから。



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