Rain shadow─偽りのレヴェル─
「………」
どうしてわたしはサーフパンツ姿のイケメンふたりに囲まれているのでしょうか。
どこを見ればいいの。
前を見ても他のイケメンがいるし、左は久遠くん、右は瀧。
「……せめてもうひとつ買ってきてくれればいいのに。ねぇ瀧」
「はい」
自分だけって……。
隣からすっごい甘くていい匂いが届いてくるのですが。
そしてイチゴ味。
意外とかわいい味をチョイスしていて、くすっとこぼれてしまった。
「いや必要ねぇかなと思って」
「必要ないって、」
「み───爽雨、こっち」
いま、深雨って言いかけたよね…?
ちょっとだけドキッとした。
それに必要ないって、それもそれで優しさの欠片もない返答だ。
どういうつもりだと思いながら言われるがまま振り向くと、ひょいっと口に入れられた冷たくて甘いもの。
「うむっ、」
「ほら、必要ない」
「……おいしい、」
ちょうど太陽が雲に隠れたことで日差しを避けてくれて、海からは涼しい潮風が届いてくる。
溶けても美味しいのがかき氷なんだと初めて知った。
「…おれも欲しいです、」
するとそれはわたしの右隣から。