Rain shadow─偽りのレヴェル─
わたしは佐狐が怪しいと思っていたのに。
こうして人間はそれぞれが違う視点を持っていて、見えているものも感じているものも違うんだと。
「久遠くんは…誰とも、こういうこと、するの…?」
「……俺はそこまで器用じゃない」
「じゃあどうして…、」
「…さぁな」
またその返事だ。
そうやってからかっているだけ。
じわっと泣き出しそうになってしまうと、今度はおでこにふわっと唇が重ねられた。
そして涙を優しく拭ってくれる。
「…ただ性欲を満たすためだけなら、男なんか今ここで襲ってる。
だからわざわざこんなことしねぇよ」
……だめ、理解が追いつかない。
わからない中でもコクンとうなずくと、わたしが欲しい顔をして笑ってくれた。
「ねぇねぇ赤矢くんって彼女いるのー?」
「オレ?どーやろな」
「なにそれ~!あたし立候補していーい?」
………なにこれ。
なにしてるの赤矢。
「遼成くーん!一緒に写真撮ろ~っ!」
「1度で済ませたいからみんな一緒でいい?ツーショット撮りたい子には俺から誘うから」
「「「きゃ~~~っ!!」」」
佐狐も。
あなた達、すっごい目立ってるの知ってる…?