Rain shadow─偽りのレヴェル─
偽りの双子
「うわっ、まじかよ…、水本が来やがった…!!」
「あのひと死んだんじゃねぇのかよ…!」
「んなわけねぇだろ!Rain shadowの幹部がそう簡単に死ぬかよ…!!」
道が勝手に開けてゆく。
どの教室だったっけと、呑気なことを考える余裕があるくらい。
それにしてもお兄ちゃんは本当に、その4グループをまとめる組織の幹部だったんだ…。
そしてそれよりも上に立つ最高司令塔は───久遠 綾都。
彼ならわたしの標的である久遠 綾羽のことを知っているかもしれない。
「…確か…2年C組だったよね、」
でもやっぱり怖いかも…。
名前も顔も全校生徒に知られているみたいだし、さすが双子。
とくに見破られる心配はなさそうだった。
だとしてもわたしは女だ。
この前まで普通の高校に通っていた女の子。
こんなにも不良ばかりで暗い学校なんかに来ることすら初めてだ。
「あ、あの…、」
「………」
「あっ、あの、」
とりあえずすれ違ったひとりに声をかけてみた。
だって誰ともつるむことなく歩いていたのは見た限りあなただけだったから。