Rain shadow─偽りのレヴェル─
「おい、うそだ───ぐは……ッ!!」
ドガッッッ!!と、砂浜に響くよりも先に鬼木は吹っ飛んだ。
“うそだろ”
身体ごと吹っ飛んだ男が寸前で言いかけた言葉は、わたし含め全員が思ったことだ。
「Rain shadowと全面抗争だァァァァーーー!!!」
だれが叫んだのか。
そこのバイクに乗っている男か、それとも金属バットを持った男か、拡声マイクでひけらかす男か。
ドガッッ!!バゴッ───!!
ドンッ、ガゴッ!!ガシャンッッ!!
「……や……めて、」
やっと、やっと今日、Rain shadowが揃ったの。
そんな特別であたたかな日を、こんな最低な思い出で終わらせたくない。
ここだけでも相手は30人はいる。
それなのに5人で向かうなんて、仲間も呼ばず戦うなんて。
「……貸して、」
「ぁあ!?なんだよお前!やんのか!?」
「…貸せと言っただろ」
「っ…、」
抗争という名の乱闘のなか、ふらふらと意識が残りわずかな足取りで傍の拡声マイクを奪う。
流れつづける涙を拭くことすら忘れて、わたしは一心不乱に届けた。
「───全員…っ、聞け………っ!!!」
ピタリと、わたしがよく知る人物たちが止まってくれたから全員の動きも止まった。