Rain shadow─偽りのレヴェル─




まるであの日みたいだ。

初めて朱雀工業高校に来た日。



「これより僕らRain shadowは…っ!!……おまえら鬼神に、───決闘を申し付ける」



もう、終わりにしよう。
ぜんぶを終わりにするの。

こんな悲しみと苦しみだって、胸が張り裂けそうな過去も。



「決闘、だと…?」


「おい、じゃあそれで俺たちが勝てばRain shadowは落とせるってことだよな…?」



ごめん、お兄ちゃん。

わたしいっぱい勝手なことしてるね。



「僕たちは逃げない。いまの僕には、何よりも強い心で結ばれた仲間がいる。
…水本 爽雨として……もう、終わらせたい」



アヤハはもういない。
それなら鬼木だけだ、残る先は。

わたしが必ず殺す。

久遠くんにも瀧にも、他のみんなの手だって汚させない。


この少しだけ物騒だけど頼れる仲間たちを連れて、史上最悪の鬼退治だ。



「2ヶ月後、そこで決着をつけよう。…すべての」



2ヶ月後の今日。


その怪我じゃ鬼木も不利だろうから、しっかり回復できる時間を取って2ヶ月後だ。

それまでに仲間を集める余地も与える。



「ーーーー……!」



ふっと意識が途切れる寸前、わたしに駆け寄ってくる久遠くんと瀧らしき声は。


深雨、と。

ふたりしてその名前を呼んでいたような気がした───…。



< 171 / 364 >

この作品をシェア

pagetop