Rain shadow─偽りのレヴェル─
まるであの日みたいだ。
初めて朱雀工業高校に来た日。
「これより僕らRain shadowは…っ!!……おまえら鬼神に、───決闘を申し付ける」
もう、終わりにしよう。
ぜんぶを終わりにするの。
こんな悲しみと苦しみだって、胸が張り裂けそうな過去も。
「決闘、だと…?」
「おい、じゃあそれで俺たちが勝てばRain shadowは落とせるってことだよな…?」
ごめん、お兄ちゃん。
わたしいっぱい勝手なことしてるね。
「僕たちは逃げない。いまの僕には、何よりも強い心で結ばれた仲間がいる。
…水本 爽雨として……もう、終わらせたい」
アヤハはもういない。
それなら鬼木だけだ、残る先は。
わたしが必ず殺す。
久遠くんにも瀧にも、他のみんなの手だって汚させない。
この少しだけ物騒だけど頼れる仲間たちを連れて、史上最悪の鬼退治だ。
「2ヶ月後、そこで決着をつけよう。…すべての」
2ヶ月後の今日。
その怪我じゃ鬼木も不利だろうから、しっかり回復できる時間を取って2ヶ月後だ。
それまでに仲間を集める余地も与える。
「ーーーー……!」
ふっと意識が途切れる寸前、わたしに駆け寄ってくる久遠くんと瀧らしき声は。
深雨、と。
ふたりしてその名前を呼んでいたような気がした───…。