Rain shadow─偽りのレヴェル─
彼は4グループあるうちのひとつ、毒蛇と意味を持つViper(ヴァイパー)というグループの総長らしい。
この子だけは中学のころから名前が上がっていて、そのときすでにトップを張った実力者の1年生だと書いてあった。
「待ってください爽雨さん」
この場から退場したくて半ば逃げ足だった足取りは、ピタッと止まった。
どうにもホッとしたような顔をして、わたしの顔をじっと見つめてくる。
「声かけたのがおれで良かったですね」
「…どういう…こと…?」
「爽雨さんがいない間にかなり悪化してますから、いろいろ」
悪化……?
なにが…?どういうこと…?
確かにこの高校は4つの危ない不良グループが混ざっているらしいから、安全ではないんだろうけれど。
それでもお兄ちゃんの力でまとめることができたんでしょう…?
ちがうの…?
「とうとうRaven(レイブン)とFox(フォックス)が手を組んだみたいで」
「…え、」
ちょっと待って、そんな一気に言われても整理できないよ…。
日記を少しずつ思い出して照らし合わせなくちゃ。