Rain shadow─偽りのレヴェル─




「前世はあいつジャンヌダルクだよ、絶対。馬に乗って剣を持って、結局は怖くて泣きながら戦ってるジャンヌダルク」



ははっと、俺の声だけが心電図モニターの音に混ざって消えた。


なぁ隠れシスコン。

早く目ぇ覚まさねぇと、俺に可愛い妹を取られるぞ。

今日はそれを伝えにきた俺だった。



「…だけどまた、ちがう抗争が起こりそうなんだ」



お前だったらどうしてた?

お前だったら、あの場面でどんな反応をしてた?


翠加のことが大好きだったお前だから、瀧以上に怒りを全面的に出してたのか。

それとも今度こそ頭脳を使って作戦を練っていたのか。



「鬼木が、また俺たちの前に現れた」



翠加を殺してお前をボロボロにしたあいつを、俺は警察に送り込んだはずなのに。

どんな汚い手を使ったのか、気づいたら執行猶予つきの出所をしていて。



「…ごめん。…深雨を泣かせた、」



あんな理由で泣かせるのだけは絶対したくなかった。

お前のことを知るとき、それはお前の口からちゃんとすべてを聞かせてやりたかったのに。


よりによって兄貴を自殺に追い込んだ男から直接聞かせられるなんて。



「それで……あいつ、鬼木率いる鬼神?ってグループに喧嘩売りやがってさ」



< 191 / 364 >

この作品をシェア

pagetop