Rain shadow─偽りのレヴェル─
「元気でた?僕の母さんの卵焼きは宇宙一なんだ」
「……はい、美味しいです、」
「ずっと見てたから欲しいのかなって!」
「…ありがとうございます、」
おれはもう、この人たちしか見えない。
深雨さんを見ると爽雨さんがそこにいるんだろうなって思えるし、本当に深雨さんが爽雨さんに見えるときがある。
いつもおれに分け隔てない優しさをくれる、おれの大好きな人たちだ。
「えー、なに、みんなここにいたの?アジトがずいぶん静かだったからさー」
「「「っ……!!」」」
教室内に居た、おれたち以外の生徒はみんなして表情を引きつらせた。
パズルのピースを埋めてゆくように、今度は3年の佐狐 遼成が現れてしまったから。
「リョウセー、なにしに来たん?」
「俺も一緒に食べていい?君たちいないとつまんない」
「狭なるやん!!」
「まぁまぁいいじゃないか。…うわ、爽雨くんのお弁当すご」
たぶんここに爽雨さんがいなかったら、彼らはわざわざ一緒に昼休みを過ごしてなんかいなかったはずだ。
ってことは烏間先輩も佐狐先輩も、爽雨さんを囲う理由は同じということ。