Rain shadow─偽りのレヴェル─




それは夏休み後半。
みんなで行った海水浴にて。

あの涙を見てしまったからなんだろう。



「……水本、これ食べるか」


「───うわ…っ!?おまえいつの間におったんや仁…!!」


「…水本に用があってな」


「だからって気配消すなや!!マジ幽霊やん!!洒落んならんわ!!」



やっぱり霊池先輩もだ。

まさか水本 爽雨があんなふうに泣くとは思っていなかったんだろう。


鬼木 蛇雄はおれの姉さんを殺しただけじゃない。

Rain shadowの参謀のこともズタズタにして追い込んだ人間なのだ。



「えっ、いいんですか?」


「あぁ、俺は甘いものはそんな好きじゃない」


「ありがとうございます!あっ、霊池先輩も一緒にお昼たべます?」


「そうさせてもらう」


「はあ!?また狭なったやん!!」



それでも変わらない笑顔で彼女は接していた。


みんな気にしてる。
なにを鬼木にされたんだって。

だけど、おれはまたそれとは違うことをたくさん知っているから。

この3人とは心配する気持ちのレベルがちがう。


おれは、おれはぜんぶ知ってるんだ。



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