Rain shadow─偽りのレヴェル─
大丈夫だよ、できるよ、制服の内ポケットにはちゃんと入っている。
人をも殺せてしまうナイフが。
「…すみません、アヤハって人はおれも知らないです。また情報が掴めたらすぐ知らせますんで」
「…そうだよ…ね、」
どうしてわたしはホッとしてるの。
決めたでしょ、お兄ちゃんのために生きるって。
そうしないと彼は報われない。
「ただ、爽雨さんがそこまで殺気を出すくらいの相手ってことは見つかるまで時間の問題じゃないですか」
「時間の問題…?」
「どうにもRain shadowを潰そうとしてる奴らが増えてるみたいなんです。
もしかするとそこに関わってるかもですし」
そう、いるんだ。
彼はRain shadowの近くに必ずいる。
そのためにはやっぱりまずはどうしても久遠 綾都に会わなきゃ。
「そこに烏と狐が加戦したら最悪ですから。そうなる前に止めます」
もう後戻りなんかできない。
わたしは男となり、お兄ちゃんになり、そして殺すのだ。
───久遠 綾羽を、この手で必ず。
「だからこそ霊池(たまいけ)先輩とおれが出ようってなってるんで」