Rain shadow─偽りのレヴェル─
けれど“今の”爽雨さんが毎日持ってきているものは1段減っている。
「赤矢、そんなに欲しいなら僕が作ってきたおにぎり余ってたからあげるよ」
「えっ、まじで!おまえの手作りなん?」
「うん、今日はたまたま時間あったからおにぎりだけ」
「ほんならもらう───……なんでや。」
そのおにぎりはおれが奪って、手にしていたチキンサンドを騒いでいるカラスにあげておいた。
「あんな頑なに断ってたやんお前!」
「…カラスは味覚なんか分からないと思いますから」
「おい、オレらRavenを馬鹿にしとるんか?」
……そうだった、このクラスはRavenが多いんだっけ。
ギロッとほぼ全員からガンを飛ばされてる気がする。
「おれ、ご飯の気分でした」
「…なんやねんそれ」
適当につける言い訳なんか、このぐらいしか思い付かない。
口を尖らせながらチキンサンドを受け取った烏間先輩と、そんなおれを見て微笑んだ深雨さん。
「ごめん瀧。それなら昆布じゃなくて明太子にすれば良かったかな」
「いえ、おれは昆布がいちばん好きです」