Rain shadow─偽りのレヴェル─
霊池…は、残りのひとつ、幽霊と意味を持つGhost(ゴースト)の総長だ。
霊池 仁(たまいけ じん)。
彼も3年生の無口な男だという。
「…そうか、頼んだよ瀧」
「───…はい」
わたしはそう言って、背中を向けた。
お兄ちゃんの代わりとして生きるんだからお兄ちゃんにならなくちゃいけない。
彼らの前で見せていた顔がどういうものか、まだ1%すら分かっていないとしても。
泣いちゃだめだよね、お兄ちゃん。
「っ…、こわい……、」
それでも誰にも聞こえないように、わたしは震える声で弱音をひとつ。
「なにが怖いって?」
「───っ!!!」
「あ、ごめん。そんな驚かせた?」
背中を覆い隠す影。
バッ!!っと振り返ると、ベージュ色のカーディガンに銀色の髪、一見平和そうなルックスをした男子生徒が立っていた。
けれどその笑みはずっと不気味な顔を貼り付けていること。
「久しぶり、爽雨くん。あれ?なんか身長縮んだ?」
「そ、そんなことないよ、」
「ん?それにちょっと威厳失ってない?大丈夫?今なら俺、君を5秒あれば殺せちゃう気がするなあ」
「……」