Rain shadow─偽りのレヴェル─
こんなのじゃ殺せるわけないって思ってしまうと、また涙が溢れては止まらない。
「おれはあなたの味方だって、ずっと言ってます」
「…なにが味方だよ……、僕はそんなの1度だって頼んでない…、」
「もうなんでもいいです。おれはおれのしたいようにするんで」
「っ、瀧…!!僕の言うことが聞けないのか……っ!!」
わたしはあなたのお姉さんじゃなければ、爽雨でもない。
わたしはわたし、深雨なの。
こんな不良高校とは縁のない場所で生きて、平和に生きて、女の子として生きて。
髪だって伸ばして、もうすぐ腰にまで届くんじゃない?なんて周りから言われてて。
「…その無理に出そうとする乱暴な口調も、“僕”ってのも、似合わないんですよ、」
ちがう、無理になんかしてない。
これは僕が自分でそうしたいと思ってしていることだ。
だってそうしないと母親は精神が壊れたままだから。
そうしないと話すら通じないから。
わたしはもう……、死んだことにされちゃったから。
「だけど聞くたびに…おれはたまらないんです、」
「っ…、だまれ…っ!!お前なんかに僕のなにが……っ、!」